第一世界へ
サイエラ : 君と賞金稼ぎたちを見ていて、ふと思い出したんだ。 アルバートたち「光の戦士」もまた互いを信じ、 足りないところを補い合っていた、と。
サイエラ : 私にもそんな仲間がいれば…… あるいは第十三世界での戦いで故郷を守ることが……。 いや、仮定の話をしても仕方がない。
サイエラ : ……そういえば、君はたしか、 「ウヌクアルハイ」とも面識があったはずだな?
サイエラ : そうだ。 私と同様に第十三世界の英雄候補であり、 死すべき定めから、エリディブスによって救われた少年だ。
サイエラ : 死の淵から引き上げられた後、彼とは語り合ったものさ。 せめて、ほかの世界の命は救ってみせようと…… 異なる世界で、使命を果たそうとな。
サイエラ : とにかく、かつての主であるエリディブスが封じられたいま、 彼がどうしているものかと、気になってね。 私のように新たな使命を見つけていれば良いのだが……。
サイエラ : もしよかったら、君が原初世界に戻ったときにでも、 彼の想いを聞いて、相談に乗ってやってくれると嬉しい。
サイエラ : この酒場で、英雄の語り部となった私のように、 彼にも、生きる理由のようなものが見つかっていれば良いのだが。 ウヌクアルハイの想いを聞いてやってもらえないだろうか?
▼ 石の家のウヌクアルハイと話す
ウヌクアルハイ : お久しぶりですね。 僕に何かご用ですか?
ウヌクアルハイ : ……貴方が第一世界に渡った後の顛末は、 ウリエンジェから報告を受けていましたが……。
ウヌクアルハイ : まさか、彼女とも出会っていようとは……。
ウヌクアルハイ : 僕は彼女を同じ境遇の仲間だと思っています。 生前は互いの存在を知らずに、それぞれが破滅に抗い、 そして破れてしまったわけですが……。
ウヌクアルハイ : 死の淵からアシエンによって引き上げられ、 次元の狭間にて「不滅なる者」として出会ったのです。 そして、同じ後悔と希望を共有した……。
ウヌクアルハイ : 僕は、かつて世界を救えなかった原因を、 幼さゆえの力不足であると語りましたが……違いますね。 それは自分をだますための方便だ。
ウヌクアルハイ : 彼女の言うとおり、第一世界の英雄たちのように、 互いに背中を預け合える仲間がいれば、僕たちも、あるいは……。
ウヌクアルハイ : 三闘神との戦いが終わってから、僕はずっと考えていたんです。 世界を救う英雄となるべく、自分にできることは何なのか、と。 シルヴァに会うことができれば、その答えが見つかるような気がする。
ウヌクアルハイ : どうにかして、第一世界に渡る方法はないのでしょうか?
ウヌクアルハイ : 魂と記憶を保存する魔具、ソウル・サイフォン。 賢人たちは、それを使って原初世界へ戻ってきたのですね。
ウヌクアルハイ : 貴方の話を聞く限りでは、ソウル・サイフォンがあろうとも、 賢人たちが世界を移動できたのは、奇跡に近い所業に思えます。 通常であれば、再現するのは不可能でしょう……。
ウヌクアルハイ : ですが「エリディブス」によって、 「不死性」を得ている僕ならば、あるいは……!
ウヌクアルハイ : Lusieさん、どうかお願いします! 僕に力を貸していただけないでしょうか?
ウリエンジェ : お待たせいたしました。 事情が事情だけに、急ぎ会うべきかと思い、 馳せ参じた次第ですが……。
ウリエンジェ : ふむ……。 確かに、この少年には「超える力」があり、 アシエンから「不滅なる者」として転生する術も学んでいる……。
ウリエンジェ : ですが、それでも無事に世界を渡ることができる保証はありません。 失敗すれば、あなたの魂がどうなるか……。
ウヌクアルハイ : それでも、第一世界へ行かなければならないんです! 英雄となるべく、僕にできることを探すために! だからウリエンジェ……どうか!!
ウリエンジェ : あなたなりの生きる道を探すためならば、 喜んで協力させていただきましょう。
ウリエンジェ : Lusieさんは、こちらでお待ちください。
▼ 指定地点で待機
ウリエンジェ : お待たせいたしました。 処置はつつがなく終わりましたよ。 これで、あの少年の魂を第一世界へと運ぶことができます。
ウリエンジェ : 彼は、いわば第一世界での私たちのように、魂を実体化させた存在。 ゆえに、ソウル・サイフォンと相性が良かったのでしょう。
ウリエンジェ : 第一世界へと運んだ後は、ソウル・サイフォンから魂を取りだし、 ふたたび実体化させる必要がありますが……
ウリエンジェ : アシエンが顕現の際、必ず人の身体を依代にしていたことを思うと、 魂の状態で活動し続けることには、何らかのリスクがあるはずです。 第一世界での私たちが、数年で限界を迎えたように……。
ウリエンジェ : ですから、いずれはあの少年が肉体を得る方法を、 探る必要が出てくるかと思われます……。
ウリエンジェ : ともかく、第一世界での魂の実体化については、 魂の専門家たる、「ベーク=ラグ」殿に相談するのが良いでしょう。 彼はクリスタリウムの博物陳列館に入り浸っているはずです。
ウリエンジェ : それでは、私は己が務めに戻りましょう。 彼の旅路に幸あらんことを……。
▼ 博物陳列館のベーク=ラグに光り輝くソウル・サイフォンを渡す
ベーク=ラグ : 誰かと思えば、おぬしか。 もうこの世界が恋しくなって戻ってきおったのか?
ベーク=ラグ : なんと! 原初世界から運んできた魂を実体化させたいとな!?
ベーク=ラグ : ついこの間まで、おぬしの仲間たちを原初世界に戻すため、 あれほど四苦八苦させおったというのに、 今度は、新たに運んできたと!?
ベーク=ラグ : ぬ…………まぁ良い。 おぬしが連れてきたとなれば、それなりの事情はあるのだろう。
ベーク=ラグ : 皆の魂を実体化させた手法については、 水晶公から聞き及んでおるでな。
ベーク=ラグ : しかし、実体化すれば一糸まとわぬ姿で現れる。 何者だろうと、裸で登場はさすがに恥ずかしかろう。 どこかで待ち合わせたいが……?
ベーク=ラグ : ふむ、彷徨う階段亭の給仕と引き合わせたいと? ならば、その「サイエラ」とかいう者のところで、 待っておるがいい。
▼ サイエラと話す
サイエラ : なに? 私に会わせたい人物がいる、だと?
サイエラ : それで? いつになったら現れるんだ?
ベーク=ラグ : 待たせたな。 思ったよりも衣装の調達に手間取ってしまった。
サイエラ : ン・モゥ族……? これが、君が会わせたいという人物か……?
ウヌクアルハイ : やぁ、貴方がシルヴァさん、ですね。
サイエラ : まさか……ウヌクアルハイ、なのか?
ウヌクアルハイ : ええ。 まさかこうして再会するとは思っていませんでした。
サイエラ : それはそうだろう。 アシエンの介在なくして、次元の狭間を渡ることなど、 本来はそう簡単にできることではないのだ。
ウヌクアルハイ : 僕はこの世界で、自分に何ができるのかを探したい。 それは誰に命令されたわけでもなく、自ら望んだこと……!
ウヌクアルハイ : だからもう、己の心を覆い隠す仮面は必要ないんです。
ベーク=ラグ : ……道すがら、少年から、 ある程度の事情は聞いておったが……。 酒場の給仕が、異世界の英雄候補とは驚かされたぞ。
ベーク=ラグ : まさかそれが、あの時の冒険者だったとは思いもせんかったが……。
サイエラ : そうか……。 君はフッブート王国の城で会った……。
ベーク=ラグ : ワシらのように長生きしていると、 忘れたくとも忘れられない思い出ばかりが増えていく。
ベーク=ラグ : だが、それも悪いことばかりではないのかもしれぬ…… 最近は、そう思えるようになった。
サイエラ : そうかも、な……。
ベーク=ラグ : 話の腰を折ってすまぬ。 それでは本題に入ろう。 第十三世界について、詳しく教えてもらえるか?
サイエラ : 第十三世界には、私たちの他にも、幾人もの英雄候補がいた。 だが、彼らは蛮神の力を封じた「聖石」という安易な力に手を出し、 次々と「闇」に呑まれていった。
サイエラ : それでも抗う道を選んだ者はいたが、 互いに存在を知らぬまま、孤独に戦い続けて敗れたんだ。 そして死にゆく魂を、アシエンに掬い上げられた……。
サイエラ : もしもあの時、互いに信じ合える友が、 背中を預けて戦える仲間がいたら、結果は違っていたかもしれない。
ウヌクアルハイ : 第一世界では、光の氾濫に呑みこまれた「無の大地」が、 再生に向かいつつあるという話を聞きました。
ウヌクアルハイ : ならば、闇の氾濫に浸食された第十三世界にだって、 希望の兆しはあるのではないでしょうか?
サイエラ : しかし、あのアシエンたちですら、第十三世界を壊れたゴミと称し、 鏡像世界統合の計画外に置いていたんだぞ?
サイエラ : そんな世界を再生するなど……可能なのか……? 君はどう思う?
サイエラ : 君は、第十三世界にも渡ったことがあるのか!? そ、そうか……本当にどこにでも顔を出す奴だな、君は……。
ベーク=ラグ : ふむ、部外者ではあるがワシが思うに、 現状を正しく把握せん限り、対策も立てようがなかろう。 まずは第十三世界とやらを覗き見てはどうだね?
ベーク=ラグ : 過去には、ここ第一世界にも次元の穴を穿ち、 魔物を召喚する術を研究していた集団がおったそうだが……。
ウヌクアルハイ : すばらしい! その「テイナー」という少年の力を借りれば、 あるいは第十三世界を観測することも可能なのでは!?
ベーク=ラグ : では、ワシは観測方法を検討しておくとしようか……。 連絡用に「ひそひ草」を渡しておくゆえ、 進展があったら呼んでくれ。
ウヌクアルハイ : ベーク=ラグさん、ありがとうございます。 僕も、精いっぱいできることをします。
サイエラ : ウヌクアルハイの容姿が、相変わらず幼いのは、 魂を実体化させているからだろうな。
ウヌクアルハイ : それにしても、まさかシルヴァが、 酒場の給仕係をしているだなんて……。
▼ テイナーと話す
テイナー : あれ、Lusieさん。 今日はどうしたんですか?
ケリッグ : 横にいるのは、給仕係の姉ちゃんと…… ここいらじゃ見ない少年だな。
ウヌクアルハイ : ええ、僕はこの世界の人間ではないのです。 実は……
テイナー : なるほど……。 確かに、ぼくは次元の壁に穴を開けて、 遠くの世界から魔物を召喚する術の修行をしていました。
テイナー : その結果、「虚ろ」と呼ばれる穴の中に吸い込まれ、 次元の狭間に閉じこめられてしまったんです。
ウヌクアルハイ : では、第十三世界への扉を開くことが……!
テイナー : ぼくの魔力だけでは、異世界に届くほどの穴は開けられません。 あれはナイルベルトとふたり、力を合わせたからできたこと。 彼がいない今では、もう……。
ウヌクアルハイ : では、僕の力を使ってくれませんか? 見たところ僕とテイナーさんは、肉体的な年齢も、魔力の量も近い。 息を合わせる練習をすれば、上手くいくかもしれません!
テイナー : それでも今すぐに、というのは難しいと思います……。 僕とナイルベルトは、あの術を使うまで、 どれだけの修行を積んだか……。
ウヌクアルハイ : いきなり現れて力を貸せだなんて、 失礼なお願いだというのはわかっています。
ウヌクアルハイ : それでも、いまの僕には貴方や、 皆さんの力を頼るほか術がないのです……! 故郷を取り戻すためには……
サイエラ : 話に割って入ってすまないが……
サイエラ : 私が預かっている英雄たちのクリスタルには、 微かだが彼らの記憶の残滓が遺っていた。 「光の戦士たち」の強い想いが定着しているのだろう。
サイエラ : ところでウヌクアルハイ、 君はたしか蛮神の思考を読み取る力を持っていたはずだな?
ウヌクアルハイ : ……そうか! あれがエーテルから意志や記憶を読む力だとすれば、 クリスタルに遺されたものだって……!
サイエラ : では、クリスタルを準備する。
ウヌクアルハイ : これが、第一世界の英雄の記憶……。
サイエラ : どうだ、術に関する記憶はあったか?
ウヌクアルハイ : こ、これは…………! なんという……なんという、強い想いなのか…………!
ウヌクアルハイ : 結論から言えば、術式は記憶として焼き付いていました。 ひとりの友を……テイナーさんを救いたいという、 強い強い焦げ付くような想いとともに……。
テイナー : ナイルベルト…………。
テイナー : わかりました……ぼくでよければ協力します。 いえ、協力させてください。
ウヌクアルハイ : ありがとう、テイナーさん……。
ケリッグ : 相変わらず、魔法関係の会話はよくわからないんだが…… あんまり危険な真似はさせられないぞ?
ケリッグ : ふむ、お前がしっかり面倒を見てくれるってんなら安心か。 だとしたら、本人にやる気がある以上、 俺が口を挟むことじゃないな。
サイエラ : 修行に進捗があったら知らせてくれ。 これ以上、酒場の仕事を放り出すわけにはいかないのでな。
👈 時を超えた思い
ウヌクアルハイとテイナー 👉
テイナー : 準備ができたら、「ウヌクアルハイ」さんの修行を始めましょう。
ケリッグ : 多少の無茶も、将来の糧……ってな。 本当に危ないときは、お前が助けてやってくれ。