5.4-4 想いよ届け
アリゼー : これで、治療法が組み上がったのね……。
グ・ラハ・ティア : ああ……だが、あくまでも理論上の話だ。本当に効果が発揮されるのかどうかは、実際に試してみなければわからない。
アリゼー : なら、まずはガ・ブの治療を試みてみるべきだと思う。あの子は、テンパードとしては症状が軽い方だろうから……。
アリゼー : ええ、そうね。多くの人の協力で組み上げた、この治療法……慎重にやれば、きっと上手くいくと思う。
アリゼー : さあ、「リムサ・ロミンサ」に向かいましょう。ガ・ブの心を取り戻すために……!
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クルル : 私は今回お役に立てそうにないから、治療の方は任せるわ。大丈夫、きっと成功するはずよ。
タタル : 治療が成功することを祈ってまっす。いってらっしゃいまっせ!
グ・ラハ・ティア : いよいよ治療法の実践だな。ガ・ブはアリゼーの友達なんだろ?元に戻せるように、オレも最善を尽くすよ。
▼ 黒渦団:軍令部のアリゼーと話す
アリゼー : あれからずっと、ガ・ブはここで保護してもらっているの。それじゃあ、あの子を連れてきてもらうわね。
黒渦団の兵卒 : お待たせいたしました。
アリゼー : ガ・ブ、おりこうにしてた?
ガ・ブ :……………………。
黒渦団の兵卒 : 状況は相変わらずです。暴れることはないのですが、喋ることもなく、ただ静かにじっとしています。
アリゼー : 大丈夫よ、きっと治してあげるからね。
アルフィノ : やあ、ここで会うとは奇遇だね。
アリゼー : ふたりとも……!蛮神対策の方を手伝ってるって聞いたけど、もう済んだの?
ヤ・シュトラ : リムサ・ロミンサの会議に参加したのだけれど、出席するはずの海賊の一部が現れなくて……結局、会議はお開きになったわ。
アルフィノ : 仕方なく、「石の家」に戻ろうとしていた矢先、君たちを見かけたというわけさ。
アルフィノ : ガ・ブに会いに来ているということは、もしかして、例の治療の目処がたったのかい?
アルフィノ : 魔導端末による演算で、術式の改変案を割り出す、か……なかなかに興味深いね。
ヤ・シュトラ : 不活性になっている魂をポークシーで活性化しつつ、記憶継承術を改変した術式で、歪められた信仰心を戻す……。確かに、エーテル学的にも理にかなっているわ。
ヤ・シュトラ : でも、魂の活性化を先行させれば、信仰心まで強めてしまう。かといって、不活性化した自我のない状態では、新たな術式の効果も薄くなるはず。
ヤ・シュトラ : これらは同時に行う必要があるのではなくて……?
グ・ラハ・ティア : さすがは魔女マトーヤ、そのとおりだ。だから、新たな術式をポークシーに込めようと思う。ソウル・サイフォンを改造したときの方法論を応用するわけさ。
アリゼー : 確かに、そうすればアンジェロは、ふたつの魔法を同時に発動できるようになるわ。ラハがいちいち術を唱える必要もなくなるし、効率的よね。
グ・ラハ・ティア : ああ、ただ難点がないわけでもない。新たな術式をポークシーに固定するためには、かなりの魔力が必要なんだ。
グ・ラハ・ティア : 前のオレなら、クリスタルタワーから膨大な魔力を得られたが、今はよくて人並みだからな……誰かに補助してもらいたい。
アルフィノ : そういうことなら、私とヤ・シュトラに任せてくれ。
ヤ・シュトラ : ええ、久々の活動だっていうのに、やったことと言えば会議くらいだもの……。魔力なら有り余っているわ。
グ・ラハ・ティア : ありがとな。では、始めるぞ……!
グ・ラハ・ティア : よし、十分だ……!
グ・ラハ・ティア : ポークシーに術式を刻む……!
グ・ラハ・ティア : はぁ……はぁ……!これで、固定できたはずだ……!
アルフィノ : 本当に……たくさんの魔力がいるんだね……。
グ・ラハ・ティア : かのアラグ文明でさえやれなかったことを、成し遂げようとしてるわけだからな……。簡単にとは……いかないさ……。
グ・ラハ・ティア : アリゼー、次はそっちの番だ。実際の治療には、今の魔法以上に時間も手間もかかる……集中できるように、軍令部の部屋を借りよう。
グ・ラハ・ティア : 付き添いは、オレが。あんたは信じて待っててやってくれ。
それがいちばん力になるだろうからさ。
アリゼー : 必ず、ガ・ブを救ってみせるわ。じゃあ、行ってくる……!
アルフィノ : では、我々はあちらで待機するとしよう。アリゼーたちを信じて、朗報を待つんだ。
ヤ・シュトラ : アリゼーならきっとやってくれるわ。グ・ラハ・ティアが言うように、彼女を信じて待ちましょう。
▼ アルフィノと話す
アルフィノ : さて、風にでも当たりながら待つとしよう。
アルフィノ : テンパードの治療法確立は、長年、蛮神問題を抱えていたエオルゼアにとって、新たな突破口となるだろう。
アルフィノ : 正直に言って、私は罪喰い化もテンパード化も、治療の可能性はないとみて、受け入れるしかないと考えていた。
アルフィノ : 諦めることが、現実的な大人の思考だとすら思っていたのさ。しかし、アリゼーは決して諦めず、ハルリクの治療を成功させ、そして今回も……。
アルフィノ : 我が妹ながら、感服させられたよ。彼女の諦めの悪さ、いや厳しい現実に抗う姿勢を、私も見習わないといけないね。
アルフィノ : ふふ、それもそうだ。といっても、正面から伝えたら怒られてしまいそうだね。
アルフィノ : 大丈夫かい、アリゼー?
ヤ・シュトラ : 治療は……どうだったの……?
ガ・ブ :アルフィーノ!みんないっしょで うれしーい!
アルフィノ : ガ・ブ……君は…………!
ガ・ブ :ボク あれからずっとタイタンさーまのことで 頭いっぱいだったーの。
ガ・ブ :でも おとうさんと おかあさーんのことも忘れなかったーよ。
ガ・ブ :だから タイタンさーまのこと 考えないようにしたーよ!ずっとアリーゼや みんなのこといっぱい いっぱい 思い出してたーの!
グ・ラハ・ティア : アリゼーや、あんたたちの想いは、しっかり届いてたんだよ。
それが……ガ・ブを踏みとどまらせたんだ。
アリゼー : 偉かったね、ガ・ブ。
ガ・ブ :アリーゼも えらいーよ!ボクの仲間たちも みんな治せーる……?
アリゼー : もちろんよ。これからどんどん、みんなを治してあげるからね。
グ・ラハ・ティア : それにあたって、みんなにも伝えておきたいことがある。
グ・ラハ・ティア : テンパードの治療には、膨大な魔力が必要なんだ。ガ・ブはアリゼーひとりで治せたが、症状が重ければ、こんなものじゃ済まないだろう。
グ・ラハ・ティア : 加えて、理論上、この術で治せるのは魂の変容だけだ。エーテル放射を重ねられ、肉体にまで変異が及んでいる場合は、残念ながら治せない。
グ・ラハ・ティア : ……つまり、誰も彼も救えるような、万能な術じゃないんだ。
アリゼー : それでもガ・ブの治療が成功したことは、大きな一歩だわ。次は治療法を広めていく道筋をつけましょう。
アルフィノ : そうなると、次なる課題は、治療用のポークシーを、どうやって量産するかだね。第一世界で作られたものだが、原初世界でも作れるのだろうか?
ヤ・シュトラ : 使い魔のことだったら、頼れる人はひとりよ……。マトーヤに相談しましょう。私じゃなくて、本物に……ね。
アリゼー : ガ・ブは黒渦団のところに戻っていてね。それじゃあ、また会いましょう。
ガ・ブ :うん!アリーゼ ありがとーう!
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グ・ラハ・ティア : 治療にはかなりの魔力を使うんだが……アリゼー、張り切ってるみたいだな。もちろん、オレも行けるぞ!
アルフィノ : ハルリクを治療するためにアンジェロを作ったとき、素材をもらうためにピクシー族と取引してね……あのときの苦労が、あらためて報われた気持ちだよ。
アリゼー : ガ・ブが元気になって本当によかった!ほかのテンパードにされた人たちも、早く治療してあげられるといいんだけど……。