5.5-3 嘆きの咆哮
エスティニアン : 「…………。」
グ・ラハ・ティア : 「これが、七大天竜……! 拘束されていてなお、この迫力か……!」
アルフィノ : 「多くの冒険を経てきた今の私たちだからこそ、 ティアマットに対して、できることもあると思うんだ。」
アリゼー : 「いざ、この姿を目にすると実感するわ。 アラグ帝国の仕業だろうと、私たち人が行った所業に、 今も、ティアマットは囚われているのよね……。」
▼ 指定地点に向かう
ティアマット : 「誰かと思えば、我が父と縁を結びしヒトの子か…… 黄昏に消えゆく竜に、何用か?」
エスティニアン : 「あの様子だと何も知らないようだな……。 相棒、お前の口から説明してやってもらえるか?」
ティアマット : 「なんと……。 かような事態が起きていようとは……!」
ティアマット : 「あいにく、我は何も感知してはいなかった。」
ティアマット : 「ほかにバハムートを神として呼び降ろせる者がいるとすれば…… かの竜を奉じるメラシディアの竜たちであろう。」
ティアマット : 「彼らは皆、闘神と化したバハムートの祝福を受け、 魂を汚染され、傀儡の如き存在に成り果ててしまった。 そして、アラグの者どもに捕らえられ……。」
アリゼー : 「この魔大陸にも、魔科学的な処置を受けて、 アラグ帝国の道具に変えられたドラゴン族がいるのよね……。 そうした、バハムートを奉じる竜たちなら……。」
ティアマット : 「うむ、ファダニエルなるアシエンは、 かようなメラシディアの竜たちを見つけ出し、 再召喚に利用したのであろう。」
ティアマット : 「闇の使徒、アシエンめ……! ふたたび愛しき翼を穢そうとは……!」
ティアマット : 「自我を奪われてなお、死すことすら許されず、 生きうるかぎり屈辱を与えられ続けている竜たちに…… さらなる責め苦を与えようというのか……!」
エスティニアン : 「そうだな。 踏みにじられた尊厳の上に、さらに泥を浴びせられるような…… 胸クソの悪い話だ。」
エスティニアン : 「それで、ティアマットよ。 悲劇を紡がれ、嗚呼、悲しいと嘆いてみせて、 それで終いか?」
ティアマット : 「ニーズヘッグの影となった竜狩りよ……。 何が言いたい。」
エスティニアン : 「メソメソ、メソメソと……。 俺たちは……俺は、そんな泣き言を聞きにきたわけじゃない。」
エスティニアン : 「七大天竜として、メラシディアのドラゴンたちの祖として、 光竜バハムートの番たる闇竜ティアマットとして、 お前が何をなさんとするのか、それを確かめに来たんだ!」
ティアマット : 「この身が自由なら、その侮言に炎熱を以て答えたろうが…… 時の牢獄に囚われた身なれば、言葉を以て答えようぞ。」
ティアマット : 「よいか、幾星霜を重ねようとも、 我がバハムートの召喚者だという事実は変わらないのだ。 その意味は、お主らのほうがよくわかっていよう……。」
アルフィノ : 「あなたもまた蛮神の祝福を受けている。 七大天竜として、強大な魂を有するがゆえに、 理性を保っておられるが……」
アルフィノ : 「ふたたびバハムートと対峙し、さらなるエーテル放射を浴びれば、 おそらくは今度こそ、魂の奥深くまで侵食され、 傀儡同然になってしまうでしょう。」
ティアマット : 「そうだ。 竜狩りよ、お主も七大天竜の力を知っておろう。 我が制御不能となれば、いかなる惨劇が起こるかも……!」
ティアマット : 「このアラグの枷は、エーテル放射を遮る壁でもある。 ゆえに我は、いかなることがあろうとも、 ふたたび空を舞うことなど許されるはずもないのだ……!」
アリゼー : 「なるほど……バハムートのテンパード…… でも、それなら解決できるじゃない。」
アリゼー : 「私たちは、テンパードの治療法を編み出したの。 さすがに、七大天竜を癒やしたことはないけど…… 理論上は祝福の影響を取り除けるはずよ。」
ティアマット : 「娘よ、それは……まことなのか。」
アルフィノ : 「過去に向き合わねば、 決して前には進めないことを私は知っています。」
アルフィノ : 「あなたが蛮神召喚を過ちと感じているなら、 今まさに、過ちと向き合うときが来たのではないですか? この機会を逃せば、あなたの心は永遠に檻の中だ。」
ティアマット : 「過去を……バハムートの魂を穢した我が罪を、 償えというのか……。」
ティアマット : 「ハイデリンは、滅びゆく星から逃げた我らを受け入れてくれた。 邪なる者たちが、この星の「終末」を再現しようというのなら、 それを食い止めることで、我も恩義に報いよう……。 」
エスティニアン : 「俺が確かめたかったことは、十分に聞けた。 あとは、ティアマットを解放するだけだな。」
アルフィノ : 「エスティニアン殿の、ティアマットに向けた問いかけ…… あれは、七大天竜の誇りを知るからこその糾弾にも思えた。 言葉はとても厳しかったけれどね。」
アリゼー : 「この翼は、もう何千年も空に羽ばたいていない。 私たちの手で、ティアマットを解き放ってあげましょう! 」
▼ グ・ラハ・ティアと話す
グ・ラハ・ティア : 「アリゼーのポークシーがいれば、 理論上は、ティアマットの汚染された魂を治療できる。」
グ・ラハ・ティア : 「だが、今回は慎重に進めるべきだろうな。 ティアマットの魂は、コボルド族に比べてあまりに強大だ…… 拘束具を外したものの治療に失敗、じゃ話にならないだろ?」
アリゼー : 「となるとまずは、蛮神召喚によってティアマットが受けた影響を、 詳細に調べるところから始めないといけないわね。 ラハ、分析の方法に心当たりは?」
グ・ラハ・ティア : 「ああ、任せろ……! アラグ帝国の研究記録にも、 メラシディアのドラゴン族に関する記述は大量にあったからな。」
アルフィノ : 「となると、残った我々で、 ティアマットの拘束具を取り外す方法を探すとしよう。」
エスティニアン : 「竜詩戦争に関わった相棒やアルフィノはともかく、 そっちのふたりも、ずいぶんと気合が入ってるな……。 お前らも、世界のために全力を出すクチか?」
グ・ラハ・ティア : 「当然、「終末」なんて起こさせるかって気持ちはあるが、 それだけじゃないさ。」
グ・ラハ・ティア : 「オレには、ティアマットの哀しみのすべてはわからない。 だが、その場から一歩踏み出すことの難しさは、 よく知ってるんだ。」
グ・ラハ・ティア : 「それができれば、世界が変わるってこともな。 ……だから、手を貸してやりたいんだよ。」
エスティニアン : 「ほう、語るじゃないか……。 さてはお前も相当なワケアリか。」
グ・ラハ・ティア : 「また今度、タタルの淹れてくれたお茶でも飲みながら話そう。 おかわりが必要なくらいには、長くなりそうだからな。」
エスティニアン : 「あの金庫番には、たとえ茶の一杯でも、 貸しは作りたくないんだが……。」
グ・ラハ・ティア : 「そこまで警戒するか? まあ、ひとまず今は、ティアマットを解放する話に戻そう。」
グ・ラハ・ティア : 「あの拘束具を外すにあたって、まず探してほしいものがある…… 魔大陸の中枢部に「制御を司る管理端末」があったはずなんだ。」
アルフィノ : 「となると、旗艦島が怪しいな。 魔科学研究所など、重要度の高い施設が固まっているからね。」
グ・ラハ・ティア : 「ああ、オレもそう考えてる。 だからこれを……ソウル・サイフォンを持っていってくれ。」
アリゼー : 「……ちょっと、ラハ、 なんでそんな物、持ち歩いてるのよ?」
グ・ラハ・ティア : 「こいつに込められた術は、まだ研究の余地があるからな。 ラムブルースやウリエンジェと、記録にまとめているんだ。 ……ただし、今回使うのはその機能じゃない。」
グ・ラハ・ティア : 「ほら、前に情報システムが「アラグの皇血」に反応しただろ? だったら、オレの血を用いているそいつを持っていれば、 誰でも端末の操作ができるかもしれない。」
アルフィノ : 「ありがとう、活用させてもらうよ。」
アルフィノ : 「さあ、「旗艦島」に向かおう! 私もボナンザ号に積まれていたマナカッターを使うとするよ。」
グ・ラハ・ティア : 「ティアマットの状態を調べるのは、オレたちに任せてくれ。 あんたは「旗艦島」で、拘束具の解除方法を頼む。」
アリゼー : 「外部からのエーテルが遮断されているとはいえ、 祝福を受けていながら、数千年も理性を保っているなんて。 七大天竜って、本当にすごいのね……。」
エスティニアン : 「魔大陸をゆっくり歩き回るのは、初めてだな……。 こういう探しものはお前たちのほうが得意だろうが、 これから、どう捜索するんだ? 」
▼ ア・ジス・ラー旗艦島のアルフィノと話す
アルフィノ : 「それでは、手分けをして旗艦島を探索しよう。 周囲に点在している端末を調べて、 それぞれ、どんな機能を持っているのか確認するんだ。」
アルフィノ : 「調べ終わったら、もう一度ここに集まって、 互いの調査結果を確認しあおう。 ソウル・サイフォンを持っているのは君だけだしね。 」
▼ アラグ帝国の端末を探す
アルフィノ : 「グ・ラハのような専門家でなくとも、 アラグの技術は、興味深いものばかりだからね。 こうして調べる機会が得られたのは、ありがたい。」
エスティニアン : 「この玉っころ、よく見ると小刻みに震えてるような……。 近づいて大丈夫なんだろうな。
異臭を放つ端末 : 「ピシュー……ピ、フシュー……。 金属部品同士が接触、摩擦により異常な熱反応を感知……。 部品の即時交換……または、至急の退避を推奨……。」
回転を繰り返す端末 : 「ザザ……ピ、ピピピ……。 デルタ管区との通信途絶……防衛システムに支援を要請……。 ……システムとの通信途絶……自走兵器への直接通信を……。 」
警告音を発している端末 : 「ピガー……エラー、エラー……。 デルタ管区、大型ドラゴン族用拘束具の、 定期メンテナンスが2020年行われていません……。」
エスティニアン : 「敵対勢力と認識されて、虫のような機械を大量に呼ばれてな……。 まったく、無駄な戦闘をさせられたものだ。」
▼ アルフィノと話す
アルフィノ : 「あいにくと、我々の方は空振りに終わったよ……。 君は、拘束具を管理しているらしき端末を見つけられたかい?」
アルフィノ : 「なるほど、大型ドラゴン族用の拘束具に、 メンテナンスが必要だと訴えている端末か……。 たしかに、ティアマットの拘束具を指しているかもしれない。」
アルフィノ : 「こういった捜索は、君に一日の長があるね。 ここまで戻ってくる手間をかけさせてしまったが、 おかげで、有力な端末を見つけられたよ。」
アルフィノ : 「「警告音を発している端末」に、 ティアマットの拘束具を管理していないか、確かめにいこう。 必要に応じて、ソウル・サイフォンも活用するんだ。 」
アルフィノ : 「少し話してみたのだが、 やはり、情報を引き出したり命令を出したりするには、 特定の権限が必要になるようだ。」
エスティニアン : 「アラグ帝国の連中は、どの玉がどの機能を持ってるのか、 どうやって見分けていたんだろうな……。」
▼ 警告音を発している端末に研究用のソウル・サイフォンを見せる
警告音を発している端末 : 「ピガー……ピガー……。 特殊拘束具へのアクセスをご希望ですか? 」
警告音を発している端末 : 「ピガー……エラー! エラー! アクセスには、魔科学研究所所長や執政官級の管理権限、 もしくは、皇族特権が必要となります……。」
アルフィノ : 「グ・ラハ・ティアの予想が的中したようだね。 Nole、ソウル・サイフォンを……。」
拘束システム : 「ピピ……ピガー……提出物内に、生体情報を検知……。 こちらは、「拘束システム」です……。 ユーザーを確認しています……。」
拘束システム : 「ピピ……皇族の生体情報と部分一致…… 正統な血縁者によって、権限を委任された者と認定します。 ユーザー名を登録してください。」
拘束システム : 「ピピ……Nole様、登録完了。 大型ドラゴン族用、特殊拘束具の操作を開始します……。」
拘束システム : 「……ピガー……エラー! エラー! 大型ドラゴン族、個体名「ティアマット」の特殊拘束具を、 操作するためには、端末のバージョンアップが必要です……。」
アルフィノ : 「バージョンアップ……どういうことだ? Nole、わかるかい?」
エスティニアン : 「ほう、そいつはすごいな……。 俺には、さっぱりだ。」
拘束システム : 「ピガー……ヘルプを提示します。 特殊拘束具の操作には、管制システムへのアクセスが必須です。 しかし、バージョンが異なるため、接続が拒否されました。」
拘束システム : 「ピピ……端末のバージョンアップは、 旗艦島の情報端末より、手動で行ってください……。」
エスティニアン : 「……よくわからんが、 この玉っころじゃあ、拘束具は解除できないということか?」
アルフィノ : 「そのようだね。 旗艦島内の管制システムの機能が更新されており、 端末のバージョンと齟齬が生じているらしい。」
エスティニアン : 「つまり、こいつは役立たずってことか……。」
拘束システム : 「ピピ……侮辱的発言に、反論いたします。 バージョンアップが行われれば、ふたたび操作可能となります。 端末の更新方法について、ヘルプを提示することも……。」
アルフィノ : 「……だそうだ。 情報端末まで案内してもらい、 我々でバージョンアップを行うとしようか。 」
5.5-4 解き放ち、空へ 👉
アルフィノ : 「シドたちがやっていたことを思い出せば、 情報端末の操作くらい、なんとかなるはずだ……。」
エスティニアン : 「そもそも、しゃべる玉っころなんて趣味が悪すぎだろう。 アラグの連中の感性ってもんが信じられんぞ、まったく……。」