5.4-7 首領代行シカルド
アルフィノ : 国際街商通りの者に、ここ最近現れたという、クリスタルの卸商を紹介してもらったんだ。
アルフィノ : なんでも、出どころ不明なものの質のいいクリスタルを、破格の値段で卸してくれるという話さ。こちらは顧客を装って近づくことで、探りを入れてみようと思う。
アルフィノ : くだんの卸商とは、低地ラノシアの、「オシュオン大橋」で待ち合わせすることになっている。さっそく、現地に向かうとしよう。
▼ オシュオン大橋のアルフィノと話す
アルフィノ : 彼がクリスタルの卸商のようだな。それでは、私が顧客を装って……
グ・ラハ・ティア : 待ってくれ……。仮にあの男が、断罪党の関係者なら、提督とも親しい「暁」の動きを警戒するはずだ。
グ・ラハ・ティア : クリスタルブレイブの若き総帥に、解放の英雄となれば、顔を知っている者だって少なくないだろう。ここは新入りのオレがやってみる。
アリゼー : まあ、アルフィノはどう見たって、こんな怪しげな取引に手を出しそうな感じじゃないしね……。顔を知らなくたって警戒されちゃうわ。
アルフィノ : そ、そうだろうか……。だが、素性が割れている点については一理あるね。
接触役は任せて、我々はここから見守らせてもらうよ。
妖しげな商人 : なにか用ですかい?
グ・ラハ・ティア : お、おい、てめぇが例の卸商だな?クリスタルを格安で卸してくれるって噂の……。
妖しげな商人 : 見たところ、商人じゃなさそうですがぁ……クリスタルをどうするおつもりで?
グ・ラハ・ティア : ああ、えっと……
アリゼー : どうしたのよ……!そんなんじゃ不審がられるわよ……!?
妖しげな商人 : ははぁ~、わかった、その立派な杖ですねぇ?リスタルの杖を作っている職人ってところでしょう?
グ・ラハ・ティア : そ、そのとおりだ。素材には、こだわりがあるんだよ……品を見せてくれ。
妖しげな商人 : うーん、ウチはご新規さんとは信頼を築いてから、売り場にご案内するようにしているんですがねぇ……。
グ・ラハ・ティア : こっちも急な注文が入って、急いでるんだッ!質さえよけりゃ、そこらの商人よりも高値を支払うぞ……!
妖しげな商人 : …………わかりやした。旦那の杖が、並の代物じゃないことはわかりやす。特別に売り場にお連れしましょ……さ、ついてきてくださいな。
アルフィノ : どうやら、うまくいったみたいだね。我々も、密かに尾行してみよう。
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アリゼー : 「公」としては堂々とハッタリだってかませたのに、何だったのかしらね、さっきのアレ……。三下というか、小悪党ぶろうとするのが向いてないんじゃない?
アリゼー : どうにか繋がったからいいものの……杖を手配してくれたタタルには、しばらく頭が上がらないわね。
▼ アルフィノと話す
アルフィノ : 彼らは坑道に入っていった。どうやら、この中が売り場になっているようだ。見つからないよう、静かに向かおう。
妖しげな商人 : 見てのとおり、最上級のクリスタルでさぁ。しかも、この値段……お買い得でしょう?
グ・ラハ・ティア : なるほど、確かにモノはいいな。だが、こうも安いと逆に不安になるってもんだ。いったい、どこでこれを……?
妖しげな商人 : 別に不法な品ってわけじゃないですぜ、旦那ぁ。オ・ゴモロ産って言やぁ、おわかりになるでしょう?
妖しげな商人 : だから、純度も品質も最高ときたもんだ!さあさあ、売り切れ必至ですぜ!
アルフィノ : オ・ゴモロは、コボルド族の本拠地だ。彼らから奪っていたということか……。
???? : お前ら、ゆっくりこっちを向け。
シカルド : オレはシカルド、断罪党の首領代行だ。
シカルド : お前らのことは知っているぞ。なあ、「暁の血盟」さんよぉ……?
シカルド : 断罪党は、リムサ・ロミンサ最大の海賊団なんだぜ?アバズレ提督んとこに誰が来たのかってコトくらい、この耳に入るようになってんだよ。
シカルド : お前ら、クリスタルを仕入れにきたわけじゃないだろう。いったい、何の用だ……?
アルフィノ : 目的も定かでない我々の前に、こうして姿を現す大胆さ。さすがは断罪党で頭角を現すだけのことはある。
アルフィノ : ならば、あえて私も包み隠さず答えよう。私たちは、メルウィブ提督の呼びかけに応じない、断罪党の真意を探ろうとしていたのだ。
アルフィノ : しかし、このクリスタル取引のカラクリを知って確信した。コボルド族との和解が成れば、君たちは「仕入先」を失う。それでは商売にならないということだね?
シカルド : ああ、そのとおりだ……。言っておくが、これには何の違法性もないからな。
シカルド : 海賊禁止令は帝国以外の船から略奪することを禁じているが、コボルド族からの略奪を禁じる法はない。
シカルド : 表の市場にクリスタルを流さないのは、競合する海賊団に、このシノギを奪われないようにするための、ちょっとした用心だ。
シカルド : おおっと、話は最後まで聞いてくれよ。これでもなぁ、オレはお前らをリスペクトしてるんだぜ?
シカルド : 黒渦団さえビビって手を出せなかった、オ・ゴモロまでカチ込みかけて、蛮神を倒したときなんざ、手を叩いて喜んだもんだぜぇ……!
シカルド : だからよぉ、オレたちも英雄様と「暁」の後に続けと、一生懸命、「蛮族」であるコボルドを叩いてきたわけだ。かわいい後輩だと思ってほしいねぇ。
シカルド : 帝国もしおれちまって、洋上からは帝国船籍のフネも消えちまったんだ……。最後の獲物の蛮族くらいは、好きにさせてくんねぇかな?
グ・ラハ・ティア : 個人的に言いたいことはいろいろあるが……現行法に違反してないという主張は、確かにそうだろう。
グ・ラハ・ティア : なら、その意見を会議から逃げずに言ったらどうだ?メルウィブ提督の前で正々堂々と語り、意見を戦わせればいい。
シカルド : ヘッ……煽ってくれるじゃねぇかよ。
シカルド : いいだろう、メルウィブと会ってやんよ。会談の場は……断罪党の旗艦、アスタリシア号の甲板だ。逃げるなよって、アバズレ提督に伝えてくれや。
アリゼー : シカルドってやつ、言うことがいちいち厭味ったらしかったわね。法的に黒じゃないっていうのが、余計に腹立たしいんだから……!
グ・ラハ・ティア : ……オレだって、これまでのあんたの冒険については、「知ってる」ってだけで、ほとんど部外者だ。シカルドの解釈を否定できるような立場じゃないだろう。
グ・ラハ・ティア : だから……あいつへの反論は呑み込んでおく。断罪党の処遇は提督が判断するだろうし、あんたの戦いの意味は、変わらずあんたの中にあればいいんだ。