RtI 1-1 追われた巡業一座
■ クガネ
ケイテン : おや、ちょうどいいところへ来なすった。そちらのお嬢さんが、貴女様に相談があるとかで、さきほどから探しておられたのですよ。
ケイテン : お~い、お嬢さん!尋ね人がこちらにおいでですよ!
リナ・ミュリラー : あなたが噂に名高い解放者……ですね!はじめまして、あたしの名はリナ・ミュリラー。「週刊レイヴン」の芸能記者で~す。
リナ・ミュリラー : かなり込み入った話なのですが、あなたにしか……いえ、あなただからこそ解決できると思うんです!とにかくあたしの話を聞いていただけませんか?
リナ・ミュリラー : ありがとうございます!といっても、相談者はあたし自身ではなくて……。
リナ・ミュリラー : アルマちゃん!見つかったわ、こっちよ!
アルマと呼ばれた少女 : リナさん、こちらの冒険者さんが……?
リナ・ミュリラー : そうよ、この方が……。
アルマと呼ばれた少女 : 父を……父さんを探し出して欲しいのです。お願いします! どうか、お願い……。
リナ・ミュリラー : 泣かないで、アルマちゃん……。
リナ・ミュリラー : ここでお話しするのは……ちょっとフクザツなんです!
リナ・ミュリラー : 詳しいことは彼女の家、「劇場艇」で説明するので、とにかくここを離れましょう。クガネ・ランディングに来てください! 待ってま~す!
▼ クガネ・ランディング前のリナ・ミュリラーと話す
リナ・ミュリラー : 「劇場艇」にはランディングに留めてある連絡艇で移動します。なぜかって? う~ん、百聞は一見にしかずってやつですよ。とにかくランディングへ移動しましょう!
リナ・ミュリラー : ああ、そうだ、今後、ランディングへ行きたいときは、こちらの「ミネグモ」さんに話しかけてください。……それでは向かいましょうか。
▼ リナ・ミュリラーと話す
リナ・ミュリラー : それでは、これから「劇場艇」へご案内しますね!リナ・ミュリラー : あ、「劇場艇」ですか?大きな声では言えないのですが、ガレマール帝国で建造された劇場艇なのです……。
■ 劇場艇ブリマ・ビスタ
▼ 大道具部屋にいるアルマと呼ばれた少女と話す
リナ・ミュリラー : びっくりしたでしょ? 劇場と飛空艇が一体となった、いわば移動型の劇場なんですよ!
アルマと呼ばれた少女 : この大型の飛空艇は「プリマビスタ」。この船は、劇団「マジェスティック」の舞台であり、私たちの家。……そう、私たちはガレアン人なのです。
リナ・ミュリラー : まず最初にお伝えしておきますが、彼らは軍属ではありません。もちろん、帝国から送り込まれたスパイの類いでもなく、あたしたちと同じただの「一般人」です。
リナ・ミュリラー : もう少し、きちんと説明しますね。彼らはガレマール帝国内でもかなりの人気を誇る、超有名な演劇集団なんです。
リナ・ミュリラー : あたしのような芸能記者はもとより、演劇ファンなら誰もが知るほどの人気ぶりで、その名は国内外に知れ渡っているほど。
リナ・ミュリラー : 征服王として知られる前皇帝ソル・ゾス・ガルヴァスは、意外にも文化の育成にも力を入れていました。
リナ・ミュリラー : 彼らの舞台を観劇したソル帝はその才を認め、帝国領土内なら自由に通行できるようにと特別な許可と、さらに劇場艇プリマビスタを建造させたほどです。
リナ・ミュリラー : ですが、現皇帝ヴァリス・ゾス・ガルヴァスの治世となった今は、文化に対する風当たりが強くなり、帝国内での巡業が難しくなりました。
リナ・ミュリラー : 帝国内で巡業するには、事前に戯曲の審査を受ける必要があり、少しでも、現政権を批判する台詞があろうものなら、即刻牢獄行きという苛烈な処分が待ち受けているとか。
リナ・ミュリラー : そのため、多くの劇作家は現政権が気に入るような脚本にするか、または筆を折るかを選択したと聞いています。
リナ・ミュリラー : ところが、劇団の主宰ジェノミス・レクセンテールさんは、なんというか……そう、「気骨ある劇作家」さんでして、現政権を真っ向から批判したのですね。
アルマ・レクセンテール : ジェノミス・レクセンテールが私の父……。私はその娘、アルマ・レクセンテールです。
アルマ・レクセンテール : ガレマール帝国では誰もが知る「おとぎ話」をモチーフにしたミュージカル「ゾディアックブレイブストーリー」、それが父の最後の戯曲……。
アルマ・レクセンテール : この舞台は帝国内でも大成功を収めたんです。でも、その成功が現政権にとっては邪魔……。私たちは石もて追われるように帝国から去るしかなかったんです。
リナ・ミュリラー : 知識層はジェノミスさんを支持していましたが、その人気が高くなればなるほど、当局からの圧力もまた高くなるばかり。
リナ・ミュリラー : 次第に当局の報復を恐れた貴族や資本家たちが、興業から手を退くようになり、支持していた知識層も口を閉じるようになってしまった。
リナ・ミュリラー : ……そうですね、あなたをお呼びした理由の説明になっていませんよね。
???? : ……続きは、この俺が説明しよう。
シド : ジェノミスは魔導院時代の古い友人でな、今回、声をかけるようリナにアドバイスしたのはこの俺さ。悪いな、厄介事に巻き込んじまって。
シド : ……若い頃はふたりで朝までよく語り合ったものさ。俺は機工学を、ヤツは演劇論を、互いに適当に相づちを打って、自分の言いたいことだけをひたすら話したモンだ。
シド : ヤツは内部から帝国を変えようと頑張っていたようだが、どうやら限界だったってことらしいな……。
ジェノミス・レクセンテール : 文化に国境はない!父さんは、こんな荒れた時代だからこそ、芝居を……文化を大切にしたいんだ!
シド : ……話が脱線したな。まぁ、わかると思うが、帝国はけっして一枚岩ではないし、そこで暮らす民の思想も「いろいろ」だ。
シド : 現皇帝に忠誠を誓う者もいれば、俺やあいつのように愛想を尽かした者もいる。
シド : とはいえ、エオルゼアやドマなど、多くの民は帝国に辛酸を舐めさせられてきた。だから……。
リナ・ミュリラー : 帝国領内で行方不明になった、元帝国人……。そんな人物の捜索に命をかけてくれる冒険者は、この地にいるのだろうか……と。
リナ・ミュリラー : だけど、あなたはすべてをご存じです。「善悪」は国家や宗教、人種、種族で判断するものではなく、個々の心の中にあるということを。
アルマ・レクセンテール : ありがとうございます!本当に感謝いたします、ありがとう!!
シド : さて、彼女にジェノミスが何をやろうとしてたのか、それを説明してやってくれないか。
アルマ・レクセンテール : ……父は大成功を収めた、「ゾディアックブレイブストーリー」の続編を、作ろうとしていたんです。
アルマ・レクセンテール : この続きは、場所を変えてお話しいたしましょう……。劇場艇のブリッジへご案内いたします。
リナ・ミュリラー : 平民の若者ディリータがいくつもの苦難を乗り越え、英雄となって幻の王国「イヴァリース」を建国する……。それが「ゾディアックブレイブストーリー」のあらすじよね。
リナ・ミュリラー : でも、ディリータがイヴァリース王になって物語は終わる。なのに、その続編ってどういうことかしら?完結してるのに、続編って……?
アルマ・レクセンテール : 平民王ディリータを陰から支えた、「もうひとりの英雄」にフォーカスした物語、……真のゾディアックブレイブストーリー、そう言ってました。
リナ・ミュリラー : もうひとりの英雄……?
アルマ・レクセンテール : ……伝承によると、ディリータの親友だったとか。ディリータの妹が亡くなった事件をきっかけに袂を分かち、以来、交わることなく別行動をとり続けたそうです。
アルマ・レクセンテール : ですが、その「名も無き英雄」は、ディリータの邪魔をする者たちをひそかに討ち取り、イヴァリースの建国を陰から支え続けたと言います。
リナ・ミュリラー : そんな伝承……聞いたことないわ。
アルマ・レクセンテール : ……そ、そうですか。え~と、その、つまり……。
シド : こういってはなんだが、ジェノミスはイヴァリースに取り憑かれていた、といっても過言ではない。
シド : 学生時代からずっと、あいつはイヴァリース伝説を研究してた。イヴァリースをおとぎ話とは捉えずに、歴史に埋もれた「真実」として探り続けていたんだ。
シド : ジェノミスが避難先としてここを選んだのにも理由がある、……そうだったんだよな、アルマ?
アルマ・レクセンテール : え……ええ、そうです。ヤンサに隣接するダルマスカ砂漠こそが、イヴァリース伝説の中心だと結論づけていました。
シド : ダルマスカといえば、帝国に組み込まれるまでは、比較的長い間、独立国家として栄えた王国だな。
アルマ・レクセンテール : 父は過去にも何度かダルマスカ砂漠へ発掘旅行に行ったんです。そこで、こんな不思議なクリスタルを見つけてきました。
アルマ・レクセンテール : 父は、このクリスタルを「聖石」と呼んで、大切にしていました。
リナ・ミュリラー : わぁ、きれいなクリスタル……。不思議な輝きを放っているわね。
見たことないわ、ステキ~~!
シド : 「聖石」ってのは、イヴァリース伝説に登場するクリスタルさ。神が王になる者に贈ったとされるもので、ディリータはこの「聖石」を集めて王座に就いたんだ。
シド : 子どもの頃、よく親父に読んでもらったっけ。ガレアン人なら誰もが知っている伝説さ。ただのおとぎ話だと思ってたけどな。
アルマ・レクセンテール : この石が自分に物語を語りかけてくるとも、言ってました。最初はただ単に、インスピレーションを得ただけなんだと、思っていたんです……。
アルマ・レクセンテール : でも、父はだんだんおかしくなっていって……。
リナ・ミュリラー : ……おかしく?
アルマ・レクセンテール : 今回、ここへ避難してきてからというもの、父は書斎にこもるようになったのですが、その……独り言が増えたんです。
アルマ・レクセンテール : 戯曲を執筆する際、その台詞を口に出して読むのは、いつものことなんですが、今回はちょっと違っていて。……「聖石」に話しかけてたみたい。
アルマ・レクセンテール : まるで母さんに……亡くなった母と会話するようなそんな感じで、ブツブツと話をしているんです。
リナ・ミュリラー : それは、やはり、帝国から逃れてきたことによる、心労が重なって、心の病を……い、いえ……お疲れになっていただけでは?
アルマ・レクセンテール : でも、私、聞いたんです……父しかいないはずの書斎で、父とは異なる声を……男性とも女性ともわからないか細い声を。
10代半ばの少年 : やめろと言ったじゃないか、アルマ。父さんの捜索はボクがやると!ガレアン人以外に委ねることなんて、できやしない!
シド : やぁ、ラムザ、どこへ行っていたんだ?紹介しよう、彼女は……。
ラムザ・レクセンテール : シドおじさんもお節介は、いい加減にしてください!
ラムザ・レクセンテール : たしかにボクらは帝国を追われたガレアン人だ。だからといって、祖国に対する誇りを失ったわけじゃない。父の捜索は自力でやります、よそ者の手は借りない!
アルマ・レクセンテール : よそ者って、兄さん……この地でよそ者は私たちよ。不慣れな土地で捜索なんて無理に決まってるわ。素直に協力を仰ぎましょうよ!
シド : アルマの言うとおりだ。それに彼女は、ガレアン人に対する偏見はない!それは俺が保証しよう。
ラムザ・レクセンテール : だったら、シドおじさんが、手伝えばいいじゃないですか!
シド : そうしたいのは山々なんだが……ある脅威に関する調査で身動きがとれないんだ。せめてもと、人手集めを手伝っていたが……本当にすまん。
ラムザ・レクセンテール : 頭をあげてください、シドおじさん。わかりましたよ、いいですよ、今回はおとなしく従いましょう。たしかに、ラバナスタは危険でしたからね。
アルマ・レクセンテール : 兄さんは前回の発掘旅行に同行したんですが、遺跡で魔物に襲われてしまい、命からがら逃げ帰ってきたんです。
シド : 旧ダルマスカ王国の都、ラバナスタか。……帝国との戦争で、今じゃただの廃墟だっけか。
ラムザ・レクセンテール : クガネに来る道中で、上空を飛行しましたが……。かつては、たいそう美しい都だったのが、今となっては、その面影を窺い知ることすらできませんでした。
リナ・ミュリラー : ジェノミスさんがそこにいるのね?
ラムザ・レクセンテール : ええ、必ずそこにいるはずです。……ちょっと計器類の最終確認をしてきます。
シド : この船で移動するのか?なら、俺は退散するとしよう。みんな、気をつけるんだぞ。十分に注意を払うんだ。
アルマ・レクセンテール : シドおじさん、いろいろとありがとうございました。
▼ ブリッジのラムザ・レクセンテールと話す
ラムザ・レクセンテール : それでは、帝国領土の辺境に位置するダルマスカ砂漠へ移動します。 準備できたら声をかけてくださいね。
リナ・ミュリラー : まさか、ゾディアックブレイブストーリーに、 続編の構想があったなんて……。
アルマ・レクセンテール : 父の捜索にご協力くださって、 本当にありがとうございます……!
かわいらしい劇団員 : このクガネはあたしたちと歴史、文化が異なるせいか、ファッションがちょっとイッちゃってるのがステキ!とってもキュート、まさにエキゾチックです!
ガレアン族と思われる劇団員 : 信じないかもしれないが、帝国市民の中にも今の帝国の方針、つまり侵略戦争を前提とした覇権主義を快く思わない者もいる。ただ、それを口にすることのできない状況なのだよ。
ハンサムな劇団員 : ボクらは帝国の市民だけど、文化を通じて他国の人々と、平和を築きたいと願っているんだ。理想主義すぎるかもしれないけど嘘じゃないつもりさ。
マッチョな劇団員 : 美しい……美しすぎる……。この鍛えに鍛え抜いた我が身体こそ、真の美……。あぁ、愛しい我が肉体ちゃん、あぁ……あぁ……。
妖艶な劇団員 : あたしたちのボスを助けてくれるってホント?ジェノミスは才気あふれるクリエイターよ。しかも家族思いで人間的にも素晴らしい人なの。