5.1-10 白き誓約、黒き密約
アルフィノ : カイ・シルも、新しい一歩を踏み出したようだね。 私たちとともに行動したことがキッカケになったのなら、 それは嬉しいことだよ。
アルフィノ : さて、私たちも自身の問題に立ち返るとしよう。 クリスタリウムの「星見の間」へと戻ろうか。 ベーク=ラグ殿の研究の進捗も気になるしね。
アルフィノ : アリゼーは、まだ旅立ちの宿にいるようだ。 彼女は、治療に目処がつくまでは、 あそこを離れるつもりはないだろうね。
ヤ・シュトラ : 白聖石の生成方法を、イチから見直してみてね。 結果、最初に考えていたのとは違う、新たな結論に行き着いたの。 あなたたちが帰還するまでに、方針をまとめられてよかったわ。
ウリエンジェ : ユールモアの街で、新たな未来への誓いが宣言されたと……。 こうした吉報も、サンクレッドとリーンに、 しかと伝えておきましょう。
ベーク=ラグ : ふむ、そちらの問題は解決したのか?
▼ 星見の間の水晶公と話す
水晶公 : おかえり。ユールモアに、新たな元首が誕生したそうだな。クリスタリウムにも一報が届けられたよ。
アルフィノ : ああ、チャイ・ヌズ殿が、元首代行を務めることになったんだ。
アルフィノ : 民に示した彼の意志はすばらしいものだった……。今後は、クリスタリウムとの交流も深まっていくことだろう。そのときは、どうか隣人として手を差し伸べてあげてほしい。
アルフィノ : それで……帰還方法の研究については?白聖石の生成は順調なのかい?
ヤ・シュトラ : ……順を追って話しましょう。
ヤ・シュトラ : 私たちの帰還に用いる道具は、従来の白聖石をベースにしつつも、新たに設計した魔具にすることになったの。
アルフィノ : 新たに……?これまでの白聖石では駄目だったのかい……?
ウリエンジェ : ベーク=ラグ殿の叡智を賜ったことで、魂を不活性化し、安定した状態で白聖石の中に収めるまでは、成功しようという目途が立ちました……。
ウリエンジェ : ですが、不活性な魂は、ほかの要素との結びつきが弱い……本来ならば付随するはずの「記憶」が、このままでは欠落してしまうのです……。
ベーク=ラグ : うむ……。「魂」だけの移送では、いわゆる記憶喪失で目覚めるだけ。「記憶」だけの移送では、目覚めることなく衰弱死するだけ。
ベーク=ラグ : この両方を安全に保持し、肉体へと注ぎ込むことのできる新たなる魔具を、我々は生み出さねばならぬのだ。
アルフィノ : なるほど……。その上で、魂の方は目途が立っているとなれば、あとは記憶を収め、肉体に還す部分の研究ですね。
ベーク=ラグ : そのとおり。簡単なことではないが、五里霧中というわけでもないぞ。実は、水晶公より、よい提案をもらえてな……。
水晶公 : 「記憶」の保持と転写という話を聞いて、ひとつ、役立てそうなことがあると思ってね。
水晶公 : 私の一族には、アラグ皇族の「血」と「記憶」を、後世に継承していくという秘術がかけられていてね。そのおかげで、クリスタルタワーの制御もできるのだが……。
ベーク=ラグ : はるか古の昔より、血と記憶を受け継いでいく秘術。その術式を解析できれば、魔具に記憶を収める方法も、確立できるかもしれん。
ウリエンジェ : これに成功すれば、古の戦技を継承するソウルクリスタルとは、段違いの情報量を収めることが叶いましょう。もちろん、他者に移すことはできないなど制約もありますが。
水晶公 : ……というわけだ。以後は、ベーク=ラグ殿を中心に、皆の知識も合わせて、「記憶」の継承に向けた研究に、全力で取り組んでいこう。
ヤ・シュトラ : 方針も見えたところで、一度、原初世界側に報告しておいた方がいいのではなくて?
アルフィノ : そうだね、今頃、我々の帰還に関して、不安な気持ちを抱えているだろうからね。
ウリエンジェ : ならば、私も一度サンクレッドとリーンのもとへ戻り、進捗を共有しておきましょう。あちらの調査状況も気にかかりますし……。
水晶公 : ああ、頼んだ……。君の知識や彼らの力が必要なときは、また連絡しよう。
アルフィノ : では、原初世界側……「タタル」に、こちらの計画を伝えておいてくれるかい?その間、私たちの肉体を何とか維持してほしいとも……。
ヤ・シュトラ : さて、オカワリ亭でコーヒークッキーでも買ってきて、 ティーブレイクを楽しみましょうか……。 気分転換をしないと、研究も行き詰まってしまうもの。
アルフィノ : 「暁」が誇るエーテル学の権威と、アラグの知識を持つ水晶公、 そして、長年に亘り魂を研究してきたン・モゥの隠者殿。 その知慧が合わされば、この難題にも……。
ベーク=ラグ : 研究している間に、肉体との結びつきが切れてしまっては、 すべてが水の泡となる……。 向こう側にいる者たちにも、尽力してもらわねばならんな。
水晶公 : 皆が無事に記憶を持ち帰れるよう、 この身に掛けられた術を紐解いて、己のものにしてみせよう。
水晶公 : ……それにしても、まさかあの術がこんな風に役立つとは。 幼いころには呪いのように思ったこともあったが、 今では……希望であり、祝福であったと思えているよ。
▼ 石の家のタタルと話す
タタル : Noleさん、お戻りを心よりお待ちしておりまっした!
タタル : クルルさんは、今も皆さんの身体を診察中でっす。第一世界でのお話は、それが終わってから、一緒にお聞かせくださいでっす!
クルル : おまたせしちゃったわね。
クルル : マトーヤ様からの助言を受けて、みんなの体に、ひとまずの処置をしたところよ。これで今しばらくは、生命力の揺らぎも安定してくれるはず。
クルル : それで……第一世界での、みんなの様子はどうだったの?
タタル : なるほど……そのベーク=ラグさんという方の協力で、少しずつ帰る方法の研究が始まっているのでっすね。
クルル : 確かに「白聖石」を使って魂を運ぶというのは、いいアイディアだと思うわ。
クルル : なら私たちは、研究の進展を信じて、肉体の維持に全力を尽くさなくっちゃね……。
???? : 折よく、来てくれていたか。話が早くて助かる。
エスティニアン : よう……。無事に旅先から戻ったようじゃないか。
タタル : エスティニアンさん……!連絡が取れなくなって、心配していまっした!
エスティニアン : 動乱の帝都から脱出して、帰還しようとしていた道中で、リオルとかいう「暁」の密偵と出会ってな……。ひとまず、ここに立ち寄らせてもらった。
タタル : 帝都で動乱って……いったい何があったのでっすか?
エスティニアン : さて、どこから話したものか……。
エスティニアン : お前たちから帝国の秘密兵器の調査と始末を依頼され、ラザハン経由で、帝国領に潜入したんだが……
エスティニアン : ある属州の魔導工場で、漆黒の王狼……いや、今は影の狩人と名乗っているんだったか。とにかく、ガイウス・バエサルと出会ってな。
エスティニアン : 共闘を打診され、帝都まで同行することになったんだ。
エスティニアン : そして、その中枢……魔導城にて、俺たちは驚くべき人物と出会うことになる。
エスティニアン : アシエンから肉体を奪い返した、あの男……
エスティニアン : ゼノス・イェー・ガルヴァスだ……!
エスティニアン : しかも、奴は俺たちの目の前で、父親でもある皇帝ヴァリスを殺害……。激昂したガイウスが、ゼノスに斬りかかり……
エスティニアン : どうにもやっかいそうな相手じゃないか。手を貸してもいいんだぜ……?
ガイウス : あれは、もはや人にあらず。……助太刀願おう。
エスティニアン : だ、そうだ……。二対一だが、悪く思うなよ……?
ゼノス・イェー・ガルヴァス : 漆黒の王狼と蒼の竜騎士か……目覚めの獲物としては、悪くない……。
ゼノス・イェー・ガルヴァス : ……来いッ!
ゼノス・イェー・ガルヴァス : 生前は、思いもしなかったことだが、やはり身体は、己のものに限るな……。
ガイウス : バケモノめ……。
エスティニアン : さすがに我らが英雄殿を手こずらせた相手だけはある……。どうする、あまり時間をかけると…………
???? : 陛下、いかがなされましたかッ……!
エスティニアン : チッ……言わんこっちゃない……!
ユリア : なッ……ヴァリス陛下ッ……!?
ゼノス・イェー・ガルヴァス : やれやれ……邪魔が入っては、興も削がれるというもの。
ゼノス・イェー・ガルヴァス : 俺は、このあたりで消えさせてもらおう。目的も果たし終えたのでな……。
ガイウス : 待て、ゼノスッ……!
エスティニアン : さて……このままじゃ、きりがなさそうだぜ?
ガイウス : ならば、一気に片をつけ、この場を突破する!
ユリア : ぐああぁっ!!
アンニア : くっ、陛下ッ!!
ユリア : 侵入者どもを、決して逃がすな!動かせる魔導アーマーは、すべて起動させよ!
ユリアの声 : 緊急事態発生……現在、侵入者が逃亡中!総員、警戒にあたられたし……!
ガイウス・バエサル : 引き返すことができぬ以上、正面突破しかあるまい!
センチュリオ・プラエトリアヌス : 相手は、元軍団長との情報だ……!動かせる魔導兵器は、すべて投入しろ……!
ホプロマクス・プラエトリアヌス : 見つけたぞ、侵入者を捕縛せよ!
ガイウス・バエサル : よし、障害を排除した……このまま駆け抜けろ!
屠龍のエスティニアン : 次から次へと、よくもまぁ……!背後からも、追手の気配が迫ってきているぞ!
ユリア・クォ・ソラノス : 逃しはしないぞ、ガイウス・バエサル!
アンニア・クォ・ソラノス : 皇帝陛下を裏切るなど、決して許せはしないッ!
ガイウス・バエサル : 近衛の連中ともなれば、さすがに腕は立つか……。まずは魔導兵器から片付けるぞ……!
ユリア・クォ・ソラノス : アンニア、連携をッ……!
ガイウス・バエサル : させるものかッ……!
アンニア・クォ・ソラノス : し、しまった……!?
ガイウス・バエサル : 今が好機……先へ進むぞ!
ガイウス・バエサル : このまま固まって動けば、敵の包囲網が厚くなるばかりだ。的を散らすためにも、別行動とすべきであろう……。
屠龍のエスティニアン : 了解だ……。ならば、俺はこちらに進むとしよう。
ガイウス・バエサル : 外で落ち合うとしよう。……無事を祈る!
エスティニアン : やれやれ、まるで魔導兵器の見本市じゃないか……。
エスティニアン : 進むには倒すしかない、か……。仕方あるまい……。
エスティニアン : 咆えろ、魔槍ニーズヘッグッ!
シグニフェル・プラエトリアヌス : アーチアルテマ、緊急起動!想定外の実戦だが、こいつの実力を試すいい機会だぞ!
疑似聖石システム : 疑似聖石システム起動……戦闘データのロードを実行してください。
シグニフェル・プラエトリアヌス : 急ぎ試験用の戦闘データを準備しろ……!
疑似聖石システム : 戦闘データXIVをロード……。
竜血のエスティニアン : 橋の上からコソコソと……「ホリッドロア」で、仕留めてやるッ!
シグニフェル・プラエトリアヌス : 次の戦闘データを準備してくれ!カストルム・アバニアから送られてきたデータだ!
疑似聖石システム : 戦闘データXIIをロード……。
シグニフェル・プラエトリアヌス : 疑似聖石ジェネレーター、最大出力。魔導フィールドをフル稼働させろ!
シグニフェル・プラエトリアヌス : 素晴らしい、設計通りの性能だ!今や、アーチアルテマは無敵の存在ぞ……!
竜血のエスティニアン : 煩わしいヤツめ……!こうなったら、後ろの機械ごと破壊してやるッ……!
竜血のエスティニアン : 魔槍ニーズヘッグに貫けぬものなし!
エスティニアン : さて、これ以上の新手はごめんだ……。さっさとここを脱出し、ガイウスの奴と合流せねばな。
タタル : 大丈夫でっすか、冒険者さん、クルルさん!
エスティニアン : 俺の過去を視た、といったところか?
クルル : 私が視た光景も同じよ。さすがに、追体験するほどの強烈な幻視じゃなかったけれど。
エスティニアン : やれやれ、その異能を直に見たのは久しぶりだが、なんとも奇妙なものだな。
エスティニアン : ともかく、肉体を取り戻したゼノスは、近衛兵が来ると、興ざめしただのとぬかして消えやがった。その後の行方はようとして知れず、だ。
クルル : ……まさか、あのときのアラミゴでの「超える力」の研究が、こんな大事を引き起こすだなんて。
クルル : 死を超越して、他者に憑依してたばかりじゃなく、自身の体を取り戻したなんて……信じられる?まるで、不滅なるアシエンだわ!
エスティニアン : 常識外という点では、次元の狭間を超えて、異界を旅してきた、どこぞの英雄殿も大概だとは思うがな。
エスティニアン : ともかく、皇帝を失った上に、皇太子だったゼノスも消えたとあって、帝国は大荒れだ。
エスティニアン : しばらくは、侵略戦争どころじゃあるまい。「黒薔薇」に関しても、理由はどうあれゼノスが使用を阻止した。
エスティニアン : これらの情報は、今頃、リオルとやらが、エオルゼア同盟軍に伝えているはずだからな。あとはアイメリクたち、お偉方に任せていいだろう。
クルル : 確かにギムリトの戦場も落ち着きそうね。内乱となれば帝国の属州の今後が心配だけれど……
クルル : ところで、ガイウスはどうしているの?途中までは、いっしょだったのでしょう?
エスティニアン : ああ、奴とは帝国本土を脱出した後で別れた。なんでも「新たな脅威」を察知したとかでな……。
エスティニアン : 詳しいことはわからんが、奴と過去に因縁のある存在が、皇帝不在の状況で、動き出した気配があるそうだ。
エスティニアン : いっときとはいえ、ともに行動して感じたが、もはやガイウスはエオルゼア侵略を企むような男じゃない。自由にやらせておけばいいさ。
タタル : そうでっすね。でも、「新たな脅威」と言われると、なんだか漠然とした不安を感じてしまいまっす。
タタル : リオルさんや東方の忍びさんたちに情報を共有して、警戒を強めた方がいいかもしれまっせんね。
エスティニアン : さて、俺からの報告は以上だ。対応を依頼された「黒薔薇」の脅威も去った今、契約は終了ってことでいいんだろう……?
タタル : は、はい……それはそうなのでっすが……。賢人のみなさんも、まだお目覚めになっていない状況でっす。よければ、もう少しここで一緒に……!
エスティニアン : 悪いが、約束は約束だ。……ガイウスがそうしているように、俺も好きにやらせてもらう。
クルル : 突然の協力要請に応えてくれて感謝しているわ。アルフィノくんが慕うだけのことはあるわね。
エスティニアン : それじゃあな、相棒。今度は戦場で倒れるような、危なっかしいことはしてくれるなよ。
クルル : さあ、私たちも解散しましょう。賢人たちの肉体についてはこっちに任せて、あなたは、ゆっくり身体を休めておいてね。
クルル : ラハくんたちも、頑張っているようね。 だったら、私だって負けてはいられないわ。 任されたからには、みんなの肉体を守ってみせないとね。
▼ タタルと話す
タタル : ふたつの世界を行き来して、今回もお疲れでっしょう!今は、ベーク=ラグさんたちの研究の進展を、信じて待ちまっしょう!
タタル : そういえば、Noleさん……。 実は、ひとつ、気になることがあるのでっす。
タタル : この間のお話以来、フ・ラミンさんが、 じっと、物思いにふけっているのでっすよ……。 よければ、様子を見に行ってあげてくださいまっせんか?
小さな旅路 👉
タタル : 賢人のみなさんの治療方法を探す過程で、 たくさんの人たちと繋がりを持つことができまっした。 これらの関係は、みなさんの帰還後も有効に働くはずでっす!
一方 原初世界 帝都ガレマルド
第III軍団の百人隊長 : 賊軍の進撃を許すな!帝位に相応しきは、ネルウァ様のみぞ!
第III軍団の百人隊長 : ぐあっ……!
第I軍団の百人隊長 : ネルウァ派の豚どもめ……!ここでヤツらを狩り尽くせば、我らの勝利だ!進め、進めッ!
ゼノス・イェー・ガルヴァス : ハッ……くだらん。
???? : 飼い犬が豚を追い立て、狩りを語る。なるほど、滑稽ですねぇ……。
ゼノス・イェー・ガルヴァス : その魂の色……何者だ……?
白いローブの男 : 私は、新たな主を探す者……。ご命じいただければ、犬は犬でも、狩人に相応しき猟犬を用意しましょう。
白いローブの男 : 未だ眠れども、いささか獰猛な存在ですから。
白いローブの男 : ゾディアークという名の獲物は……。
一方 第一世界 ユールモア廃船街
汚れた身なりの男 : 聞いたか、新しい元首のチャイ・ヌズが、「ダイダロス社」の工場を再興するんだとか……。近く働き手を募集するって話だぞ。
みすぼらしい女 : 廃れた集落を再建するために、入植希望者を募る予定があるとも聞いたよ。なんでも、無償でタロースを貸してくれるみたいね。
汚れた身なりの男 : ほう、そっちの話も美味そうだな。どっちに応募しようか、迷っちまうぜ……。
みすぼらしい女 : 働き口さえあれば、子どもたちを食べさせることもできるものね。ちょっとだけ、希望が出てきたんじゃない?
???? : 希望、か……。
戦士風の男 : ならば、遺された最後のひとりとして、我らが悲願のため、希望の光を灯してみせよう……。
戦士風の男 : それを成し得るのは、選ばれし英雄だけなのだから……。