5.5-1 決意の旅路へ
アリゼー : 「Nole、ちょうどいいところに来てくれたわ。 帝都の調査に出ていたサンクレッドとウリエンジェから、 無事に帝国領を脱したって連絡があったの!」
アリゼー : 「突如現れた「異形の塔」については、 まだ、各国が派遣した調査隊の報告待ちだけど……。 帝都の様子を知ることで、なにか手がかりがあるかもしれないわ。」
アリゼー : 「ふたりはもうすぐ石の家に到着するらしいから、 あなたも一緒に、ふたりの報告を聞いていかない?」
サンクレッド : 「よう、なんとか無事に戻ったぜ……。」
サンクレッド : 「聞いたぞ、テンパードの治療法の件。 まさしく歴史を変えるような大発見じゃないか!」
アルフィノ : 「アリゼーやグ・ラハ、 それにNoleたちの努力が実ったのさ。 おかげで、蛮神問題にも解決の糸口が見えてきたよ。」
アリゼー : 「そうはいっても、良いことばっかりじゃないわ。 各地に現れた「異形の塔」に、テロフォロイの宣戦布告…… 対処しなくちゃいけない問題は山積みよ。」
アリゼー : 「ところで、ウリエンジェの姿が見えないようだけど……?」
サンクレッド : 「あいつなら、アラミゴにいる。 王宮に立ち寄って、ラウバーン隊長たち同盟軍のお歴々に、 持ち帰った情報を共有してくれているのさ。」
ヤ・シュトラ : 「それで……帝都ガレマルドの現状は?」
サンクレッド : 「……リセがもたらしてくれた情報どおり、ひどい状態だった。 帝都の中心部は、今やガレキの山も同然だ。」
サンクレッド : 「内戦を引き起こした皇族ネルウァと、 その息がかかった第III軍団の連中も、どこに消えたのやら……。 廃墟と化した帝都は、不気味なほどの静けさに包まれていてな。」
アルフィノ : 「屋上庭園での「挨拶」と合わせて考えるに、 ゼノスとファダニエルに駆逐された、ということだろうか……?」
サンクレッド : 「……もしくは、反抗する意思すら持てない状態にされたか。」
サンクレッド : 「帝都でただひとつだけ、騒がしい場所があったんだ。 魔導城……皇帝の居城にして政治の中枢さ。」
サンクレッド : 「半壊したその城に群がるようにして、 無数の兵士や市民たちが働いていたんだ。 修理……いや、「改装」するためにな……。」
アリゼー : 「内戦で壊れてしまった魔導城を、 もっと強固なものに造り変えようとしていた、ってこと?」
サンクレッド : 「いや、それどころじゃなく……とにかく異様な外観でな。 ウリエンジェの奴は、魔法的な術式が組み込まれているから、 大規模な魔導装置なんじゃないかと推測していたが……。」
サンクレッド : 「真相を確かめようにも、 隙間がないほど大勢の連中が、重労働に勤しんでいるときた。 誰かが監督しているわけでもないのに、黙々と……。」
サンクレッド : 「そう、まるでテンパードのように……だ。 だからこそ安易に近づかず、 偵察を切り上げて、帰還してきたってわけさ。」
アルフィノ : 「ファダニエルは、ルナバハムートなる存在を使役していた。 同じように帝都の人々も支配しているのだろうか……?」
アルフィノ : 「なんにせよ、君たちが無事でよかった。 貴重な情報を持ち帰ってくれて、ありがとう。」
サンクレッド : 「というわけで、俺からの報告は以上だが、 アラミゴ王宮で、ラウバーン隊長から伝言を頼まれてな。」
サンクレッド : 「あちこちに現れた、謎の「塔」について、 調査隊の報告を共有する会談が開かれるらしい。 そこに、「暁」も出席してほしいそうだ。」
アルフィノ : 「もちろん、参加させてもらおう。 ただサンクレッドは、長旅の疲れもあるだろうし、 石の家で休んでいるかい?」
サンクレッド : 「いや……例の塔は、俺も帰還途中に見て気になっていたんだ。 テロフォロイと帝国に関わりがあるのなら、 諜報の成果も役立てられるかもしれない。」
ヤ・シュトラ : 「代わりというわけじゃないけど……私は残らせてもらうわ。 実はクルルから、ちょっとした相談を受けていたのよ。 そっちも気がかりな案件だから、調査をしておきたいの。」
アルフィノ : 「では、私たち5人で向かうとしよう。 まずは、アラミガン・クォーターで、 ウリエンジェと合流しようじゃないか。」
ヤ・シュトラ : 「今、進めている調査については、 いずれ必ず報告するから、少し時間を頂戴。 まだ推論を口にできる段階ですらないのよ……。」
アルフィノ : 「帝都の市民たちは、いったい何を造らされていたのだろう? テロフォロイの企みの一環と考えるべきだが、さて……。」
アリゼー : 「屋上庭園は、まだ復旧作業中みたいね。」
グ・ラハ・ティア : 「「ルナバハムート」や、アマルジャ族の誘拐事件についても、 なにか続報があるだろうか。」
サンクレッド : 「とんぼ返りになったが……なに、まだまだ元気さ。 レヴナンツトールに着いたとき、フ・ラミンさんに出会って、 美味しい水を一杯もらったんでな。
▼ アラミガン・クオーターのウリエンジェと話す
ウリエンジェ : 「ひとときの別れなれど、無事に再会できたことは喜ばしく……。 皆様が、多くの難事に直面していたとの報告は、 この耳にも届いております。」
グ・ラハ・ティア : 「そっちこそ無事でよかった。 やっぱり、実際に顔を合わせると安心するな……。
???? : こりゃあ、驚いた……。 アルフィノ……アルフィノじゃないかっ! それにみんなも、何故ここに!?」
アルフィノ : 「アレンヴァルド!? 君こそ……リンクパールで帰還の報告をしたときには、 任務に就いていると言っていたから、てっきり……!」
アレンヴァルド : 「……なんだ。 異界で一年過ごしたと聞いていたが、身長は変わらずだな。 アルフィノが俺を見下ろしてくるのを、楽しみにしてたんだぜ?」
アルフィノ : 「肉体は原初世界に留まっていたんだから、成長しようがないさ。 わかっていて、からかわないでくれ。」
アルフィノ : 「それに……エレゼン族の成長をあなどらない方がいい。 君を見下ろすようになる日は、そう遠くないぞ?」
ウリエンジェ : 「私も10代の終わりごろに、急成長したものです。 長身のムーンブリダを追い越すことは、 ついぞ、ありませんでしたが……。」
アリゼー : 「私は背丈よりも中身で並べるかどうかだと思うけど…… ま、言うだけ野暮か。 なんだかんだで仲いいわよね、あのふたり。」
アルフィノ : 「ところで君は、何故ここに? 私たちは、ラウバーン殿の呼びかけに応じて、 会談に出席するためにきたのだが……。」
アレンヴァルド : 「……フォルドラに会いにきたんだ。 ある作戦への参加要請を受けることにしたんだが…… あいつにも力を貸してもらえないかと思ってな。」
アルフィノ : 「このタイミングでの作戦というと…… 「異形の塔」に関することかい?」
アレンヴァルド : 「……ま、そんなところかな。」
アレンヴァルド : 「ほら、お前も大事な会談があるんだろう……? 積もる話は、お互い用事を済ませてからにしようぜ。 また、後でな。」
アルフィノ : 「フォルドラの力が必要な作戦とは、いったい……?」
アルフィノ : 「……いや、あとで本人に聞けばいいことだね。 アレンヴァルドの言うとおり、今は会談が最優先だ。 王宮へ向かうとしよう。」
メルウィブ : 「サンクレッド、ウリエンジェ。 帝都から持ち帰った情報は、アラミゴを通じて共有してもらった。 敵地への潜入という危険を冒してくれたことに感謝する。」
ウリエンジェ : 「なすべきことを、なしただけのこと。 聞けばここアラミゴでも、アシエンが龍神の紛い物を呼び出し、 「終末」をもたらすと宣言したとか……。」
ラウバーン : 「ああ、自分たちは「テロフォロイ」だと名乗り、 派手な宣戦布告をして去っていった。」
ラウバーン : 「しかし、その後はというと、目立った動きがない。 各国、それぞれに警戒を強めてはいるものの、 「ルナバハムート」も姿を消したままだ……。」
カヌ・エ・センナ : 「嵐の前の静けさでしょうか…… とはいえ、手をこまねいているわけにはまいりません。」
カヌ・エ・センナ : 「我々は、各地に出現した塔を「終末の塔」と名付け、 調査隊を派遣しました。 」
リセ : 「私、帰還してきた調査隊を出迎えたんだけど…… 突然、彼らが襲いかかってきたんだ。 」
リセ : 「その様子に、見覚えがあったからさ。 拘束した上で、ポークシーを使って治療を試みたら、 みんな正気に戻って……。」
アリゼー : 「テンパードに、されていたってこと……?
リセ : 「落ち着いたあと隊員たちに話を聞いたんだけど、 塔に近づいたところで、咆哮のような何かが聞こえて…… それからの記憶がないっていうんだ。 」
リセ : 「気になるのは、それだけじゃない。 彼らは私たちに襲いかかるとき、こう言ったんだ。 」
リセ : 「ガレマール帝国に栄光あれ、ってね……。」
ウリエンジェ : 「通常、テンパードは、神への信仰心を焼きつけられています。 しかし、此度の事例では、ガレマール帝国への愛国心が、 刻印されていたと……。
アイメリク : 「報告は、もうひとつある。 先日発生したアマルジャ族の誘拐事件だが、 ほかの種族も、同様の被害を受けていることが判明した。 」
アイメリク : 「しかもどうやら…… この拉致騒ぎにも、件の塔が関係しているようなのだ。 」
アイメリク : 「ドラヴァニアに現れた「終末の塔」を監視させていたところ、 黒装束に身を包んだ一団が、拘束されたイクサル族を連れて、 塔へと向かう姿を発見した。 」
アイメリク : 「そこで神殿騎士団を派遣して攻撃……。 イクサル族を解放しつつ、誘拐犯を検めたのだが、 帝国製の装備を所持していたことが確認されたのだ。」
グ・ラハ・ティア : 「「終末の塔」と異種族の誘拐事件……。 ふたつの点が、帝国軍という線で結ばれたというわけか。
ナナモ・ウル・ナモ : 「ファダニエルと結託したゼノスが、 何らかの方法で、内戦状態だった帝国軍の残党を束ね、 「テロフォロイ」に組み込んだと見るべきであろう。」
ラウバーン : 「ドマとも情報を共有しているが、 ヒエン殿もまた、同じ見立てだと話しておられた。」
ラウバーン : 「いずれ、東方連合と共に、東西から帝国を挟撃し、 講和に持ち込むつもりでいたが…… やはり、「終末の塔」への対処こそが先決であろうな。」
ラウバーン : 「そこで、だ……。 状況を打開するための一手として、 適性を備えた者たちに、協力を要請しておいた。」
ラウバーン : 「蛮神のエーテル放射に耐えうる者たちならば、 精神汚染されることなく塔を調査することも可能であろう。」
アレンヴァルド : 「フォルドラも、調査への参加に同意してくれました。 俺たちふたりで、この任務にあたらせていただきます。」
ラウバーン : 「危険な任務だが、ここで敵の狙いがつかめれば、 有効な打開策もまた、導き出せるはずだ。 どうか、頼むぞ。」
アレンヴァルド : 「俺のはたらきが、皆の助けになるというのなら…… 喜んで、どこへでも行きますよ。」
ラウバーン : 「それでは、我々からの報告は以上だ……。 アレンヴァルドとフォルドラの両名は、 準備を整えた後、護衛部隊と合流してくれ。」
アルフィノ : 「アレンヴァルド、君は……。」
アレンヴァルド : 「わかってるよ……。 出立前に、話をしよう。」
アルフィノ : 「たったふたりでの潜入任務か…… 無事に帰ってきてくれることを祈るばかりだよ。」
フォルドラ : 「…………無駄な会話をする気はない。」
▼ アレンヴァルドと話す
アレンヴァルド : 「みんなも、すぐ来るかな。 大丈夫、もう誤魔化さないからさ……。」
アレンヴァルド : 「一応言っておくが、さっきタタルさんに報告は入れたぜ? ラールガーズリーチにいる、ジャ・モルバとヴァ・マハにもな。」
アルフィノ : 「……君の志願を咎めるつもりはないよ。 だが、敵の拠点へ侵入することになるんだ。 これまでにない危険な任務だと、理解しているね?」
アレンヴァルド : 「目の前に「終末」を再現するためだっていう塔が現れた。 そいつを調査できるのは、特殊な力がある者だけ……。」
アレンヴァルド : 「そして、その力が俺にはあるんだ。 今ここで動かないでいたら、俺は一生モノの後悔をするだろう。」
アルフィノ : 「君は……?」
フォルドラ : 「囚人部隊の兵士に、それを聞くのか? 危険な任務に従事する見返りとして、助命されているんだぞ。」
アレンヴァルド : 「そんな答えで、煙に巻くなよ。 今回の任務は、ラウバーン司令から拒否権を与えられていたろう?」
フォルドラ : 「……聞けば、ガレマール帝国は事実上、崩壊しているらしい。 私が……私たちが絶対だと信じた大国が、いとも簡単にな。」
フォルドラ : 「そして、今回の一件を引き起こした「テロフォロイ」とやらは、 ゼノス様……いや、ゼノスが率いているという。」
フォルドラ : 「だから、知りたいのさ。 「終末の塔」に何が隠されているのか…… 自分が何に加担していたのかを見極めるためにな。」
アルフィノ : 「……ありがとう。 覚悟を問いただすようなことをして、すまなかった。」
サンクレッド : 「だが、実際どこの塔を調査するつもりなんだ?」
アレンヴァルド : 「ギラバニアに出現した塔の周辺には、 帝国兵らしき者の姿が多数、確認されているんだ。」
アレンヴァルド : 「だから、比較的警備が手薄だと言われている、 パガルザンの塔に向かうつもりさ。」
サンクレッド : 「大草原パガルザン……。 あそこは、アマルジャ族が支配する土地だが、 踏み込んで大丈夫なのか?」
アレンヴァルド : 「蛮神対策の一環として、アマルジャ族の動向を探るため、 パガルザンに潜入したことがあるんだ。 多少の土地勘もあるから、安心してくれ。」
アレンヴァルド : 「それじゃ、俺たちはそろそろ行くよ。」
アルフィノ : 「ああ……そうだ、アレンヴァルド。 落ち着いたら以前のようにロッホ・セル湖にでも行こう。 水泳の上達ぶりを、師匠である君に見せたいからね。」
アレンヴァルド : 「ハハ、そりゃいいや。 お前たちも、調査や任務に行くときは気をつけてな。 お互い無事で、また会おう!」
アレンヴァルド : 「ありがとうな、任務に参加してくれて。」
フォルドラ : 「前の作戦ではお前に助けられた。 借りを作ったまま死なれちゃ、寝覚めが悪い……。 それだけだ。」
アレンヴァルド : 「頼りにさせてもらうさ。 この件には、バハムートを従えた男が関わってるんだろう? そんな奴に出くわしたら、俺ひとりで相手取れるわけないからな。」
アレンヴァルド : 「……そう。 悔しいけど、今の俺の実力なんてたかが知れている。」
アレンヴァルド : 「世界を救った英雄はもちろん、 その隣で戦ってきたアルフィノだって、 すごく強くなってるのにな……。」
アレンヴァルド : 「今の俺じゃ、とてもあいつらには敵わないけどさ。 同じ「暁」の一員として、英雄になりたいって…… 分不相応かもしれないけど、そう憧れたこともあるんだ。」
アレンヴァルド : 「託された想いに応えるためにも…… 俺だって、やってみせるさ。」
アルフィノ : 「さて……覚悟を決めて任務に赴いてくれたのだから、 あとは仲間を信じるのみだ。」
アルフィノ : 「「終末の塔」をアレンヴァルドたちが調べてくれるなら、 我々は、ルナバハムートの方を追うとしよう。」
タタルの声 : 「こちら、タタルでっす! 聞いてください、エスティニアンさんが見つかりまっした!」
タタルの声 : 「でっすが、「ルナバハムート」のことをお伝えしたところ、 こちらの制止も聞かず、立ち去ってしまったのでっす……。」
タタルの声 : 「ただ、イシュガルドに行くとおっしゃってまっしたから、 今すぐ向かえば、先回りできるはずでっす!」
アルフィノ : 「そういうことなら、至急イシュガルドに向かおう。 ただ、そこで見つけられなかった場合も考えて、 ボナンザ号を回しておくよう頼んでもらえるかい?」
タタルの声 : 「わっかりました! ではでは、私とクルルさんは「石の家」に戻りまっすので、 無事にとっ捕まえることができるよう、がんばってください!」
サンクレッド : 「それなら、俺たちも一足先に「石の家」に戻っておこう。 ヤ・シュトラたちに、会談の結果を共有しておきたいからな。」
ウリエンジェ : 「かの竜騎士と無事に出会えるよう祈っております。 それでは……。」
グ・ラハ・ティア : 「蒼の竜騎士……ついにあの、蒼の竜騎士か……! 本に書かれてた範囲でだが、活躍はよく知ってるんだ。 タタルとクルルによる大捕り物の話もな!」
アリゼー : 「目の前の任務や使命をやり遂げられるか、誰だって不安よ。 でも、ああして信じて送り出してくれる存在がいるのは、 嬉しいことだと思う。」
👉 5.5-2 竜への追想